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成年年齢引き下げまであと3カ月!

一斉に成年に

令和4年4月1日、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。
これによって平成14年4月2日~平成16年4月1日生まれの人が一斉に「成年」として取り扱われるようになります。
今日は、成人年齢引き下げに伴う変化と懸念点を考えます。


これまでの成年と未成年

これまでは民法上満20歳をもって成年として扱われました。
19歳までを未成年者として扱い、この未成年者は、法律上「制限行為能力者」とされています。
その名のとおり、行為に制限がかかるのです。
具体的には、法定代理人(通常は親権者)の同意を得ずにした契約は、未成年者本人又は法定代理人が取り消すことができます。
「未成年者契約取消」といいます。

未成年契約取消が出来ない例外

上記には例外があり、次の場合は、取り消すことが出来ません。

①未成年者が結婚している場合(民法753条)
②法定代理人が目的を定めて処分を許した財産をその目的の範囲内で使う場合(民法5条)
ex:学費など
③目的を定めないで処分を許した財産で、支払いができる場合(民法5条)
ex:小遣いなど
④許可された営業に関する行為(民法6条)
⑤未成年者が単に権利を得るとか、義務を免れる場合(民法5条)
ex:お年玉をもらう、借金を免除にしてもらうなど


18歳の法律行為の扱いが変わる

これまでは、未成年者は保護者など親権者(保護者)の同意を得なければ、携帯電話の契約など出来ませんでした。
成人年齢引き下げに伴い、18歳から親権者(保護者)の同意を得なくても、これらの契約を自分の意思で出来るようになります。
その一方で当然、親権者に保護されなくなり、上記のような「未成年者契約取消」をすることは出来ません。

成年年齢引下げに伴う懸念点

SNSが活発となる昨今では、18歳の犯罪トラブルが広がることに懸念を抱いています。
例えば、18歳以上の高校生の中で、友人や先輩などの人間関係を利用されて、投資勧誘や情報商材の購入などが広がる可能性が大いにあります。
学生ローンでお金を借りて、返済に困るなど、このような被害をどうやって防止していくのでしょうか。

身を守るために

未成年者は、取消権をもっているため、必要のない情報商材を高額購入してしまった場合、法律上の取消権を行使して返金を求めることが出来ます。
しかし、成年にはこのような取消権はないため、成人年齢18歳引下げを機に成年になりたての若者を狙う悪質業者が出てくることも容易に想定されます。

このようなトラブルに巻き込まれないよう、高校ではもちろんのこと、義務教育の中でも常に契約に関する知識やお金の管理などを学習していく必要があると思います。法律教室の定期開催、最終的には「法律」の授業を義務教育で取り入れていく必要があると考えます。

無料法律教室の開催で寄与したい

成年年齢18歳引下げに伴い、私の方で、高校生を対象に契約の基本知識やお金の管理に関してお話する「法律教室」の開催を行い上記の問題に寄与出来ないか現在模索中です。学校関係者の皆様、もしも学校で法律教室の開催を希望される方などいらっしゃいましたら、無料で行いますのでお問い合わせよりご連絡をください(その際、是非このブログで開催の様子などを掲載する許可を頂けますと幸いです)。

成年でも取り消せる場合もある

未成年者契約取消が出来ない場合であっても、契約を取り消せる場合があります(クーリングオフなど)。
お困りごとがございましたら消費者生活センターへの相談もご検討ください。
消費者生活センター:03-5211-4314

— 司法書士 加陽麻里布(かよう・まりの) —